ぱちコマな日々

ざれごと、たわごと、うわごと、しごと。

1日3時間しか働かない国

読んだ本

誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国

誰もが幸せになる 1日3時間しか働かない国

1日3時間しか働かない国。 その国の名はギルギシア。
その国では誰しも1日3時間しか働かなくてよい。
それでいて子供からお年寄りまで皆が幸せに暮らしている。
 
そんな本を読んだ。
 
主人公は飛行機のトラブルである国に立ち寄り暫く滞在することになる。
本書は主人公がその国で見聞きしたことを友人たちへ伝えるための10通の手紙から構成されている。

この本は人生の在り方について、ひとつの理想を描いた本だ。
現代社会の労働問題の具体的な解決方法が書いているわけではないが、"働くこと" について考えさせられる本だ。
 
以下、本書より一部抜粋。  

 このようにして、生産力は三倍になった。充実している人っていうのは、嫌々やっている人がやっと一週間かけてできる以上のことを、たった一日でできてしまうからだろうね。そう考えると「休暇」っていう概念がここには馴染まないし、意味のないものだって気がする。どんなときも人生を謳歌できるように、すべてが機能しているようなこの国ではね。
 そうなると、僕らの社会の休暇の概念が、仕事についての考え方と同じように、ひどいものだってことがわかってくる。 ( ~中略~ ) 休暇の時期になると、何百万もの人々が楽しむことを強制される。そして残りの時期は息つく間もなく働いたり、うまく仕事にありつけないかと夢をみたり、毎日の義務的な労働からくる心身のトラブルを解決することに費やしてしまうんだ。
 一日八時間労働のメカニズムは、社会的な緊張や神経症や鬱や体の不調を生み出している。何より、誰もがはっきり感じているんだよ、大事な自分の時間をみすみすどぶに捨ててるってことをね

人生において時間は有限。
そんなことは分かりきっているはずなのに、今までその大切な時間をどれだけどぶに捨ててきただろう。
これからどれだけ捨てていくのだろう。

生産力が3倍になれば労働時間は1/3でいい。
たしかに今の生産力を維持すればいいだけならその通りだと思う。
そもそも8時間労働だと生産力を上げても拘束時間は残業分しか減らない。
そして残業が減るから給料も減る。
何この労働者にメリットが少ないシステム。。。

長時間労働の根本的な原因は、生産性向上による個人と会社のメリットが一致していない点が多いことではないか。

生産性を上げろというが

ここでの生産性とは労働時間に対しての仕事量という定義での話。
同じ仕事量をこなすのに時間が短ければ短いほど生産性は高いということになる。

たびたび日本は生産性が低いと聞く。
他国のことはよく知らないが、他国に比べて3倍の時間をかけて2倍の品質を作り込むなどと揶揄される。

品質が上がるならまだいい。
しかし実際は、品質に関係のない無駄な打合せや体裁を保つための工程、根回しや書類作成作業の多いこと。
ただでさえ人口が減って、どんどん働く人も減っていくのにいつまでこんなこと続ける気なのか。

また、会社はそんな無駄な作業を強要する一方で生産性を上げろという。
生産性向上を現場の末端に求める前に、会社として全体的に考えるべきことがあるのでは、とは思う。

生産性上げる仕組みを考えるから、その為の時間を確保させて欲しいというのは甘えだろうか。
その時間を確保できないなら、結局今やっていることからやらないことを選択するしかない。
それなら品質に関係のない無駄な仕事を減らしたい。

残業時間を減らせとだけ言って現場に問題丸投げするのはやる気無さ過ぎでしょ。

労働時間の強制するべきか

世の中には働くことが好きな人と嫌いな人がいる。

今の政治家は個人の事情や意思を無視して、とにかく働く時間を短くすれば良いと思っている節がある。
その背景には、働くことは悪いことという思想が伺える。
憲法で義務付けられた行為が悪いこととは何とも悲しく虚しい。

働くことが嫌いな人は労働時間が減ればいいかもしれない。
しかし、働くことが好きな人にとってはどうだろうか。
働きたい人は好きなだけ働けばいいと思う。
長い時間働くという選択肢もあるべきだ。好きなことなのだから。
ただそれが本当に個人の意思なのか、会社に強制されたものなのかを明確にするための仕組みを作ってくれまいか。

ひとまず個人や会社の事情を考えずに、国が労働時間を強制するのはいいとは思えない。
単純強制で労働時間を短くするだけだと、間違いなく生産力が落ちるかサービス残業が増えて状況は悪化しますよね。

まとめ

長時間労働と生産性の低さは個人だけでは本質的な改善はできない問題だと思う。
個人の生産性向上はできる範囲でやるべきだけど、国と会社は本質的なところに目を向けて下さいな。

誰だってもっと楽に楽しく稼ぎたい。
大切な時間をどぶに捨てたくない。
どんなときでも人生を謳歌したい。

でもそんな社会には程遠い。そんな未来がくるとも思えない。
どんより重く暗い未来しかイメージできない。

そんな夕暮れどきの日本だけれども、僕は生まれ育ったこの国が好きだ。
人としてのプライドと思いやりを持ったこの国の人たちが好きだ。

だから日の出とまではいかずとも、せめて線香花火くらい明るく儚い未来を夢見せてくれる政治家はいないものかね。
 
以上、あー選挙行く気しない。という話でした。